すずめの戸締り 感想 (ネタバレ込みはここをクリック)

 昨日、新海誠監督の「すずめの戸締り」を見た。


IMAX版で視聴。たまにIMAX画角を考慮していない”なんちゃってIMAX”の作品があるのだけれど(キャラの顔がめちゃくちゃ大きくなってしまい見づらい)、新海誠IMAXに賛同してるらしく天気の子同様にIMAXに対応した作品であった。といっても今作でIMAXの威力が発揮されたのは映像というより音響面であったと思う。地響きの迫力すごかった。

全体として非常に面白かった。途中まで「あ今作はエンタメ重視の作品なんだな」と感じるなどかなり展開の早いアクションシーンがあってすごい見ごたえがあった。

なんだけど、途中の”帰宅困難地域”の描写から(あっ…)って血の気が引いた。

この作品が震災を扱ったということへの受け止めは様々で自分はほぼ当事者ではないのだけれど(自分のとこは震度5”程度”だった)、自分は賛辞を贈りたいと。震災を扱った実写映画少ないと考える。ハリウッドで同じような災害が起きたら映画数十本作られてるのでは。少なくとも自分は東京から東北に高速道路で行く際に福島で今現在も作品のように大震災の形跡を残しているいるなんて知らなかった。新海誠が特典本で1/3くらいの観客はこの映画を観ても3.11だとわからないのかもしれないって述べてるけど、ほんとにそうだと思う。日本を描こうと思ったときに触れないのは逆におかしいなと。挑戦した作品に賛辞を。

自分は「天気の子」に衝撃を受けてそれは作品自体が自分のような他の地方から都市に出てきた"子供"の息苦しさを描いた、つまり”ドンピシャ”だったからでもあるのだけれど、今作にも頭ぶっ叩かれたたぐらい刺さる方々がいるんだろうなと。

宮崎の風景、明石海峡大橋新神戸駅前、立教大、教員採用試験、お茶の水、高速道路、新海作品の解像感ある多様な日本を表すモチーフに親近感を覚えてそれがほんとに好きだった。

細かい日本描写のリアリティを含めてこの作品はアニメだけじゃなくて邦画全体を背負うような作品だったんではないかと感じた。それだけ日本の実写映画が貧弱ということでもあるけれど。

細田守が一貫して「家族」をテーマに作品を作っているのがすごい好きなんだけど、特典本を読むと「君の名は。」からの新海誠作品も一貫して「災害」をテーマにしていた事実が浮かびあがり感嘆。